羽生選手の出場決行

 フィギュアの羽生選手が怪我を押して試合に出場したことについて、感動的という感想と、無謀という批判が出ています。でも、スポーツ特にプロスポーツでは常にある悩ましい問題なのですね。羽生選手の場合、流血という派手なビジュアルが議論を呼び起こした面がありますが、プロレスでは当り前というか、演出に利用しています。プロレスの流血はショーだからと軽く見てはいけません。頻繁に繰り返したため、アブドーラ・ザ・ブッチャーC型肝炎に感染していたそうです。プロスポーツというのは、決して体に良いものではなく、酷使するものですから、引退するころは体はボロボロです。

 出場が欠場かで思い出すのは、ソチオリンピックモーグル伊藤みき選手です。膝の怪我を押して無理に出場しようとして、結局、決勝に出場出来ず、批判されたりしました。もし、満身創痍で決勝に出場したとしたら、羽生選手のように感動的だと称賛されたのでしょうか、はたまた批判されたのでしょうか。

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 伊藤みき選手の場合、本人の決断以外にも競技団体の判断も絡んでいます。競技団体が選手を消耗していないかという問題もあるわけです。モーグルは一応、アマチュアなので競技団体は選手の体を第一に考えるべきでしょうが、本人の意向もあって難しいです。競技団体の方針という点で、大相撲というプロスポーツは極端です。そもそもの相撲という競技自体が非常に体に悪そうです。膝は痛めるし、糖尿病にはなるし、大変です。他のスポーツだったら、野蛮であるからとか、人道的に問題があるとしてルール改正していそうですが、伝統文化でもあるのでそれもままならないのでしょう。

 力士の成績不振の殆どの原因は怪我か病気ではないでしょうか。でも、相撲の解説者はそんなことは一顧だにしません。「大関としての心構えが足りない」というようなコメントが殆どです。怪我や病気は当り前なのだから言い訳にはならんという雰囲気があります。いや雰囲気ではなくて実際そのようで、引退後の体のケアには気を使っているようですね。お大事に。