子供に人権はない,ただし・・・

 子供のハーネスが話題になっていたようです。「ヒモで繋ぐなんて人権侵害だ」,「安全のためだ」という議論かなと推測しますが,詳しくはわかりません。

 奇矯な言辞を弄しますと、子供に人権は有りません。ただし大人程にはですけど。他にも,大人だったら人権侵害に相当する酷いことを子供には随分しています。選挙権を与えていません。居住の自由も有りません。門限で行動の自由を制限されます。手を繋がれ移動の自由を制限されます。嫌いな食べ物を強制的に食べさせられます。望みもしない学校に強制的に行かされます。乳児に至っては,檻に入れられます。看過出来ない酷い人権侵害です。大人だったら。

 子供の人権が制限されるのは,「保護」という名目です。パターナリズムですね。そもそも子供は大人並みの人権を主張出来る一人前の人間と認められていないのでしょう。保護をする代わりに人権を制限しています。ただ,無制限ではなくて,虐待すれば子供の人権侵害と言われますね。虐待の代償の保護を行っているようには見えないからです。でも,虐待する親は「教育だ」と言い訳します。教育も保護の一部ですからね。結局,程度問題かと思います。

 奇をてらわずに言えば,子供にも人権は有ります。ただし大人と同等にあるのではなく,保護と引き換えに制限されると言うことだと思います。時々,大人と同等の人権があると勘違いする人がいますが,それだと保護出来ませんので,子供にとっては厳しすぎます。どの程度制限するかは簡単には決められない難しい問題だと思います。文化や時代で変化しますしね。

 子供の人権を侵害するのは誰かというと,保護者ですね。保護は人権を制限するものですが,それが行き過ぎると侵害と見なされるわけです。このことからも,程度問題であるとわかります。

 ハーネスの不評は単に見た目の慣れの問題でしょう。なぜなら,チャイルドシートは話題にもならないからです。制限の程度としてはハーネスの方が緩いのですけどね。ハーネスは,犬のリードヒモを連想させやすいけど,チャイルドシートは連想するものがあまりないというだけの事かと思います。自分が不快なだけで,子供のためじゃないんですよ。動物愛護なんかと一緒です。愛護されて動物が喜んでいるかどうか分からないように,子供がどう思うかも分かりません。多分,子供は人権なんて理解していませんから,大人の人権感情を満足させたいだけでしょう。そう考えるとくだらない議論のようにも思えて来ますが,見た目も重要ですので世の中複雑です。