残業代ゼロ

「残業代ゼロ」案修正へ 幹部候補に限定、年収は問わず
http://www.asahi.com/articles/ASG5V77PYG5VUTFK00V.html

 労働時間にかかわらず賃金が一定になる働き方をめぐり、政府の産業競争力会議が、対象となる働き手の範囲を見直すことがわかった。当初案は対象に一般社員も加えていたが、「幹部候補」などに限定し、年収の条件を外す。法律で決めた時間より長く働いても「残業代ゼロ」になるとの批判をかわすため対象を狭めるねらいだが、企業の運用次第で幅広い働き手が対象になるおそれがある。
 28日の産業競争力会議に、4月に当初案を提案した民間議員の長谷川閑史(やすちか)・経済同友会代表幹事らが修正案を出す。いまは従業員を一日8時間を超えて働かせたり、深夜や休日に出勤させたりすると、企業には賃金に上乗せしてお金を支払う義務がある。当初案は、時間ではなく仕事の成果で賃金が決まる働き方を提案し、年収1千万円以上の社員のほか、一般社員も対象にするとしていた。

 これは,委任契約から請負契約方式に変更するということですね。委任契約では仕事の成果は保証せずに,仕事の時間に応じて対価を支払いますが,請負契約では,仕事に要する時間は自由ですが,成果を保証します。医者や弁護士は成果を保証出来ませんので委任契約ですし,建築工事は建築物を完成しなければなりませんが,一日8時間作業でも,夜間残業作業で完成させても自由です。

 どちらの契約が妥当かということは仕事の内容によるわけで,医者や弁護士に残業代を払うのが嫌だからといって請負契約にするのは無理です。産業競争力会議は当初,一般社員にも請負方式を考えていたようですが,具体的業種に関わらず一律というのは無理有りすぎでしょう。また,幹部ぐらいは成果を求めるというのは有りそうですが,幹部候補に求めるというのも筋が通らないのではないでしょうか。幹部候補だろうと,一般社員だろうと,幹部でない時は同じ仕事をしているわけですから。それとも,幹部候補は将来に幹部になる勉強もしているので,その勉強の成果に対して手当を出してくれるのでしょうか。

 それに,仕事の成果はどうように測るのでしょうか。測れる仕事は既に歩合制みたいなことになっているような気がします。

 そもそもの目的は何なのでしょう。労働時間を減らしたいのか,残業代を減らしたいのか。請負方式にすれば残業代ゼロですが,労働時間は増えそうです。もし,労働時間を減らしたいのなら,技術革新や体制革新が必要です。それが歴史的事実かと思います。