程度問題と専門家

[漫画を糾弾する、自称科学的な人たち]  
http://anond.hatelabo.jp/20140513163404

 「絶対にないと言えるのか。問題提起を一笑に付し、糾弾して良いのか」という,良くある意見です。もちろん「論理的に絶対にない」とは言えませんが程度が問題ですね。「実際上絶対にない」と言って良いレベルです。

 例えば,次の言説はデマだし,絶対にあり得ないと言い切って良いです。

 鹿児島は静岡に比べて年平均気温が1℃以上高いので,火傷が多発している。鹿児島には住めない。

 でも,鹿児島県でも火傷は発生しています。気温が理由ではないだけですが。さすがに,このレベルだと,気象の専門家でなくてもデマだとわかりますが,放射線と鼻血の場合は判断出来ない一般人も多いのが難しいところだと思います。そう言う場合,素人は専門家に尋ねれば良いのですが,専門家を信用出来ないとなると困った事になります。

 専門家を信頼出来ないと,自分で経験できる範囲のことしか判断出来なくなります。携帯電話の電磁波の影響も,電車の安全システムも,食品の安全性の判断も出来ません。従って,携帯電話も電車も怖くて利用出来ませんし,人の作った食品を口に入れるなんて恐ろしい事は出来なくなります。結果的に,自給自足の生活しか出来なくなります。文明的な生活は望むべくも有りませんが,自然が好きな人には良いかも知れません。寿命は30歳ぐらいになるでしょうが。

 実際には,そこまで極端な人はいません。すべての専門家を疑うのではなくて,同じ主義主張の他者は信頼している場合が殆どです。この主義主張が問題で,例えば「自然は良い」だったりします。これは価値観なので,寿命が縮まっても,病気になっても自然がよいと考えているのなら他者がとやかく言えません。ただ,自然の方が安全で長生きで健康な生活が出来ると勘違いしているのなら不幸です。その人の本心の願いが長生きで健康な生活なら尚更です。

 主義主張によって「鹿児島県では気温が原因で火傷が多発し,住めない」というデマが真実に変わったりしないのですけどね。