原発賠償で差、人間関係壊れた…国などを提訴へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140302-00000200-yom-soci
読売新聞 3月2日(日)10時58分配信
東京電力福島第一原発事故で設定された旧「緊急時避難準備区域」の線引きが原因で、地域の人間関係が壊れたなどとして、福島県田村市の住民ら約２００人が東電と国を相手取り、約３６億円の慰謝料を求める訴訟を近く東京地裁に起こすことがわかった。
代理人の弁護士らによると、同区域は２０１１年４月、同原発から２０〜３０キロ圏を中心に設定された。同市常葉(ときわ)町早稲川(わせがわ)地区は一部地域が３０キロ圏内に入るものの、この地域に民家がなかったため、区域外となったという。区域内の近隣住民には、「精神的損害」として計１８０万円が支払われたほか、避難・帰宅にかかった費用なども東電側が賠償した。一方、早稲川地区の住民は「自主的避難などにかかった損害」として、計１２万円（妊婦、１８歳以下は最大６８万円）を受け取ったのみで、賠償額の違いで人間関係が崩れ、精神的苦痛を受けたなどと主張している。
子育てでは，他の子と比べるなという戒めがあります。おそらく，子供自身が他の子と比べる傾向があるので，それを助長してはいけないという意味だと思います。人間は他者との比較して満足できないと不幸になるようです。子供がよく言う言葉に「ずるい」があります。「お兄ちゃんだけズルイ」と不平たらたら，他者と同じ待遇でないことに非常に敏感です。
大人になっても同じです。マーケティングにも利用されていて，みんな持っているような雰囲気を感じると，持っていないことは，不幸なことのような気がしてきます。心理学では社会的同調圧力の実験がいろいろされています。周囲が明らかに間違った回答をすると，それに合わせた回答をするという笑えるものもあれば，他者に電気ショックを与えてしまうという笑えないのもあります。
人間は社会的動物なので，世間並みということが重要なようです。世間並みでないのは実に不幸に感じますよね。商売で値引きしてもらった時に，「人に言わないで下さいね」と言われたりします。もし，人に知られると，俺には負けてくれないのかと苦情が殺到するのでしょう。確かに，自分だけ負けてもらえないと，それが定価でも，定価以上で買わされたような不幸な気分になります。
損害や被害への補償や賠償の場面でも，他者との比較が大きな障害になるんですね。自分にとって必要で妥当な額より，他者との横並びが気になるようです。田村市でも，今までは良好だった人間関係も，賠償金の差で険悪になったそうです。不公正な行為をしたはずの国や東電とではなく，住民同士が険悪になるというのは，理屈に合いません。でも人間の感情は理屈通りにはならない。
賠償金とは罪作りなもので，水俣病の補償と救済でも同じような事が起きています。1960年代に最初の訴訟がなされ，21世紀になっても決着していません。
1989年：週刊新潮2月16日号pp31-32に〝水俣病「ニセ患者」も三十年〟として胎児性患者・上村智子の母親の意見を掲載
私らが裁判に勝ったら、一任派の人たちも千八百万円もらいなすった。それはまだいいのやけど、お金が出たばっかりに、〝自分もそげんとじゃ（そういう症状だ）〟と言う人の出てきたとです。それも、以前は伝染病やとか言うとった人やら、〝あそこの家は貧乏やから、魚しか食うもんがなくて病気になった〟とか、陰口叩いとった人に限って我も我もと申請ばするとです。ろくに魚も食べんのに水俣病になった人やら、四十年になった水俣に越してきた人やらが、〝水俣病や、水俣病や〟言うて・・・・。絶対、焼酎飲みすぎてアル中になった人やら、中風やらの人が申請しとるとです
すべては公平を求める正義感故ですが，そのためににっちもさっちもいかなくなることを見るに付け，何とかならないものかと憂鬱になります。ですが，正義感は止めどもなくわき出るらしく，全員が損しても公平が大事とまでなってしまいます。もう少し，柔軟に考えた方が得じゃないのと思ったりするのですが，人間の本性なので，多分無理だと思います。では，どうすれば良いのでしょうか。分かりません。
戦争が何故なくならないかと同根の問題なのかもしれません。個人的には，正義よりも自分の損得だけを考えるのが良いと思うのですが，これも結構難しいです。車を運転していると，マナーの悪い車が割り込んだり追い越したりします。温厚な私（ホントです，多分）ですらむかっ腹が立ちます。つい，割り込みを阻止しようと意地悪したり，追い抜き返したりしてしまいます。しかし，これは非常に危険な行為です。結果的に事故を起こして大損する可能性があります。たかが車1台分の遅れが許せないばかりにですよ。正義感とは高く付くものだと思います。
