微妙な違いだけど,全然違う

 例えば次のような問題があります。

「二人きょうだいのうち,少なくとも一人は女の子だとすると,もう一人も女の子である確率は?」

 正解は1/3というものです。なぜなら,兄弟構成は,男男,男女,女男,女女の4種類ありますが,最初の場合は除外され,二人とも女の確率は3ケースの内1ケースだからと説明されます。しかし,この問題と説明は不十分ではないかと私は思います。

 少なくとも一人は女の子だと分かった状況によって,確率は変わって来るからです。きょうだいの話声が聞こえてきて,どちらかは分からないけど一人は女の子だと分かった場合は,確かに1/3です。しかし,きょうだいの一人と会い,女の子だと分かった場合は,1/2です。男女と女男のいずかの片方は排除されるからです。

 まだ,腑に落ちない人もいるかも知れないので,もう少し,分かりやすい例を考えてみます。表裏とも黒,表黒裏赤,表赤裏黒,表裏とも赤の4種類のコインが1枚ずつあります。1枚のコインを取り出して,片面(表か裏かは不明)を見たら赤でした。反対側も赤である確率は,1/3です。1枚取り出して表を見たら赤だった場合,裏も赤である確率は1/2です。

 モンティ・ホールの問題も,司会者が意図的に外れドアを開けたのであれば,2/3,偶然外れドアを開けたのであれば1/2と確率は違って来ます。

 このように,微妙な状況の違いで確率はまるで違って来ますが,人間はその種の違いを認識するのが苦手に出来ているようです。