治安は悪化しないと、ニュースにならない

読売新聞、11月15日の夕刊のトップ記事です。

再犯率 最悪45.3% 昨年の検挙者 16年連続で増 犯罪白書

犯罪を起こして2012年に検挙された人のうち、再販者の占める割合(再犯者率)が過去最高の45.3%だったことが15日、法務省が公表した今年の「犯罪白書」で明らかになった。再犯者率の上昇は、1997年から16年連続で上昇し、出所後の就労支援など再犯防止策の必要性が改めて浮き彫りになった。

なにやら、拙い事態が進行している模様かと、読み進めると、

 白書によると、窃盗や傷害などの一般刑法犯で検挙された人は28万7021人で8年連続で減少した。うち再犯者は13万77人で、こちらも6年連続で減ったが、初犯者の減少幅の方が大きく、再犯者率を押し上げる結果となった。
 一方、2012年に刑務所に入った入所者は2万4870人。06年をピークに減少しているが、再入者(1万4505人)が微減にとどまり、再入者率も上昇した。
 ただ、女性の入所者は高止まり傾向にあり、・・・・

 なんのことはない、検挙者も再犯者も再入者のいずれも減っているじゃないの。見出しの「最悪」はひどい煽り文句ですね。記事の後半の女性の件の方が問題で、こちらを見出しにすべきでしょうが、それではインパクトが弱いってことでしょうか。

 で、よく見ると、見出しには再犯率と書いてありますが、記事中では再犯者率となっています。あれ、この話どこかで聞いたような・・・

NHK「刑法犯の少年の再犯率 最悪に」は誤報です(2013/02/23)
http://d.hatena.ne.jp/rna/20130223/

懲りずに繰り返すものだ、全く。

■11/17追記
再犯者率が高いことは悪いこととは限りません。極端な例で、再犯者率が100%ということは、犯罪の新規参入がないということですから、数十年もこの状態が続けば、犯罪はゼロになります。

一方、NHKなどの報道機関が「憂慮?」しているのは、一度犯罪を犯した人が再び犯罪を犯す可能性で、これは「再犯率」です。つまり、将来の可能性を考えているわけで、当然、ある年の統計だけではわからず、ある程度の期間を観察しなければ判りません。さらに、その期間の設定で違います。なので、再犯率は「一度処分された犯罪者のうち処分後一定期間内に再び犯罪を犯す人の割合。」となっています。

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BA%C6%C8%C8%CE%A8

で、思ったのですが、再犯率を正確に把握するには、その期間内に同じ人が犯した犯罪を特定しなければなりません。つまり、犯罪件数ではなくて、犯罪者数(延人数ではなく、実人数)を計算する必要があります。これって、ものすごく面倒じゃないでしょうか。実際のところ、正確な「再犯率」ってどのようにして計算しているんでしょうかね。