患者に不利益を与える者

 教えて!goo の質問
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/7615333.html
私は、約10年間化学物質(有機溶剤等)取り扱う仕事携わり、中枢神経機能障害(慢性中毒症)と化学物質過敏症を発病しました。そこで北里研究所病院臨床環境医学センターを受診し、問診書や検査結果にもとに専門医(M名誉教授)が業務上疾病と診断しました。

 専門医に診断書と労災申請書に記入してもらい、(N)労働基準監督署に提出しましたが、2年間待たされ不支給に成りました、不支給の理由は、本省の専門医(K)大学医学部(A)公衆衛生学教授の意見書に「北里研究所病院臨床環境医学センターの検査は、客観的な検査方法ではない」と書かれていました、この意見書を基に(N)労働基準監督署長は労災申請を不支給にしました。当然審査請求、再審査請求も棄却されました。

 質問は、北里研究所病院臨床環境医学センターを受診して、業務上疾病(労災)として認められた患者さんは多くいます、(K)大学医学部(A)公衆衛生学教授意見書は矛盾しています。労働基準監督署が業務上疾病(労災)と認めない理由について教えてください、労災に詳しい方よろしくおねがいします。(業務以外に化学物質に暴露することはありません)

 北里の診断でも労災認定された人は多数いるとのことなので,この方の場合,中枢神経機能障害(慢性中毒症)で申請すれば認定された可能性があるのではないでしょうか。北里のM名誉教授のMCSとの診断が患者さんに不利益を与えたとも言えます。

 業務上疾病(職業病)には認定基準が有り,化学物質等による疾病にも原因物質が規定されています。
http://www.joshrc.org/~open/kijun/kijun.htm

 労基署担当者としても,原因物質が特定されないMCSでは労災認定したくても出来ないでしょう。ですから,MCSと診断しても,何らかの原因物質を記載して申請しているのではないでしょうか。当然,職場環境との因果関係が必要ですから,原因物質の特定は必要不可欠です。

 更に,普通の人なら何とも無い基準値以下の超微量の濃度で労災認定というのも無理があるでしょう。そのような濃度にするのは不可能であり,そのような職場環境を雇用主に求めることは出来ません。

 MCSも労災認定されているという記述をネット上でいくつか見かけますが,それぞれの事例を見てみると,中毒症というのが実態のようです。MCSとしての認定でないことに不満を述べている方もいますが,認定基準からして無理でしょう。MCSも労災認定されているという記述は誤っていると思われますし,認定基準に沿った申請をすれば認定可能なのに,MCSとして申請し却下されるという不利益を受けた上記質問者のような方を増やす可能性が有ります。

 MCS患者さんは,地方に転地したり,極端な場合はクリーンルームのような処で生活しています。これは,甚大な生活上の障害です。本当にこの様な処置が必要なら,他の難病同様に,世間一般の生活や仕事をすることは,お気の毒ですが諦めざるを得ないでしょう。最近では,障害者にも配慮した職場環境が求められていて,そのような整備が進められていますが,それにも限度があります。不特定の多種の物質について測定不能な濃度まで職場環境を下げさせることなど不可能です。

 しかし,もし,中毒症であったなら,大きな負担になる処置は不要ですし,雇用主は職場環境の改善を行う義務がありますし,労災認定も受けられるでしょう。アレルギーであっても,職場での配慮してもらうことも可能かもしれません。誤ってMCSと診断されればこれらが総て、かなわぬものとなってしまいます。