21年3月2日

 夜やっと島原町駅に降りる。電報連絡していたので改札口には姉と妹が二人出迎えに来ていた。姉の顔は覚えていたが妹の顔は誰か直ぐ判らない。帰る途中,中学時代の剣道の友人K本君の自宅前を通ったので姉に聞いたところ,冬寒い時でもよく表の玄関を出て息子の帰りを待って居られたと聞き気の毒にと思う。一礼して通り過ぎる。町の中は明るさもなく商店の飾りもない。家が並んでいるというだけの趣であった。
 家の潜り戸を入り姉が「今帰ったよ」と言い,亦末の妹が「兄さんも一緒に来た」と言ったので,奥に寝ていた弟,妹,兄の奥さん,甥,姪も出てきた。
 夜遅くまで話が尽きず,入浴準備もしてあるとのことで6年10ヶ月振りに五右衛門風呂に浸かった。
(終わり)