台湾出身の設営隊員は飛行場建設、防空壕掘り、山岳ジャングル内での作業等総て内地人以上に元気でよく頑張ってくれたと思う。時々作業場で会っていた台湾出身設営退院と偶然会い、無事元気で会えたことを手を取り合って喜んだ。その頃折に触れ日本への帰国話も出ていたので「台湾に帰ったら手紙くれ。宛先は日本国佐賀県警察署 N田毅でよい」と書いてあげた。「必ず一度は台湾へ訪ねて行くよ」と言った所その台湾出身者は「班長さんたちはちゃんと日本へ帰られるでしょうが、吾々台湾の者は何処へ帰ったらよいのか判りません。中国人となるのか日本人でこのまま行ってよいのでしょうか」と言う。小生も拙い事を言ったと思ったが「おそらく貴男たちは今度中国人でしょうね」と言った所「そうですかね」と淋しそうに言ったことが今でも思い出される。出身は台湾の高砂族で、本当に今日までよく頑張ってくれたのに、何等お礼に差し上げる物もないことが残念に思われた。
