土人とは夜付き合ったことはなく諸用事は昼間であった。某日,本島のパンガマという大隊の歩哨位置を越えて食糧採集に行った時のことである。時間も遅くなり暗闇ではあるし,野宿することにし4人円くなり天幕を被って寝たことがある。夜中何か気配がする。一人起こして耳をすましたが何の音か判らない。すると先の方に暗闇の中に白く光る玉が2個,4個近寄ってくる。何だろうと耳をすましつつ小銃の安全栓を開き,他の二人も起こす。近くなるにつれその2個が3個になったり2個になったりする。その内仲間の一人が「土人だ,話し声が聞こえた」と言う。耳をすますと成る程土人の声がする。一応銃を構え「誰か」と誰何したところ,先方より「ナンバワン,ナンバワン」と言って近寄ってきた。
闇夜の土人は目が二個光り,口でものを言うと歯が白く光るので三個になる。
又会話は総て,
否けない ノー,ノー
よい。上等 ナンバワン
悪い ナンバテン
以上の三語で総てが通じる。