或日「中隊機関永石軍曹の許へ各分隊5名使役を出せ」とのこと。他の4名と共に軍曹の所に集合した。その時小銃3発。空襲だ。皆防空壕へ飛び込む。30名以上の使役兵と26名の中隊機関兵が居り，防空壕は満杯となる。壕の中は暑いので，先に入った者はお互いに肘を張り間をとっている。当然全員は入れない。
東側入り口で「中を詰めてくれ」というがもう皆には聞こえない。西側へ行けば入れたと思うがその時間はない。敵機は小型爆弾を連続投下しつつ近づいてくる。ドドドンと約１５米先（壕の東側入り口）に落ちた。爆風と共に皆壕の中で折り重なって伏せる。どうしても奥へ入れなかった筈なのに，全員西側入り口の方へ将棋倒れとなり東側半分が空になった。皆の顔を見ると真っ黒くすすけている。お互い笑おうとした時「やられている。衛生兵呼んでくれ」という声。見ると既に息絶えている。本当に可哀想であった。皆もっと奥に詰めてくれたら，犠牲者も出さずに済んだものと思う。（合掌）
