昭和17年2月頃

 部隊演習で九竜で一番高い山に登る。青い海に島々のきれいな景色である。出てこなけりゃ良いのに島影から漁船が一隻現れる。隊長は突然「目標海上に浮かぶ漁船三発4000米高低0.7瞬発信管続いて撃て」と命を発した。照準はしたものの中国人が乗っているのだ。命中させてはいけないと舟の後部海面同一点だけに撃ち込んだ。舟には当たらないが船頭は相当慌てただろうと皆が言う。命中せずよかったと思ったのは隊長以下全員だったと思う。