1945-01-01から1ヶ月間の記事一覧

20年8月15日

朝夕二回敵機が素通りしていく。翌日も翌々日もそうだ。何か米豪軍は企んでいると見える。嵐の前の静けさを思わせる感じだ。

20年7月下旬

中隊の週番下士を努めた時である。ボーゲンビル島の部隊はブイン、エレベンター地区へ集結の軍命下る。敵の上陸に備えのことと聞いたが、愈々玉砕の前準備かと兵は皆考えた。農園に植え付けた陸稲は未だ収穫には早い。出発は一週間以内だ。早いようだがその…

20年6月上旬

集結、陸稲栽培、歩兵の突撃訓練。連隊の方はどんな考えか判らないが事態は差し迫った感を抱かせる。 本島の農園跡に5中隊も集結。農園作業に従事。その間海軍より陸稲を貰い受け大切に農園に植え付ける。兵は毎日歩兵訓練だ。散開、各個前進、突撃、銃剣術…

20年5月下旬 大隊病因へ入院途中命拾い

5月になって元気が出ない。小隊で身体が弱っている者、死亡した者を考え、N西軍曹、I田兵長、S田上等兵と名を挙げてみると、今度は小生の順番ではなかろうかと思われる。これは何とか考えて生き長らえるのが現在の状況下では大切なことだ。生きねばならぬと…

20年5月4日 煙草、土人と交換

芋、魚、豚等はどうかすればどこかにあり、どうにかなる。が煙草だけは土人も最近出入りしなくなり誰に話しても手に入らない。本当に煙草好きの人は枯れ草でも吸っているのだろうかと気になる。そんなある日、元気者のY永上等兵が「N田班長、どこか煙草の有…

20年4月中旬 海上カヌーで敵機と遭遇

カヌーに一人で乗り今日は外界の方へ廻ってみようと思い岸辺を東廻りに漕いで行く。(湾内では大分採っており獲物も少なくなった)矢張り外海は波も大きく岸も岩等で近づきにくい。崖も切り立っている。小銃で種々の熱帯魚や色のきれいな魚を撃ち、岩の上の…

20年3月頃 海軍農園芋掘り

漸く自分らの農園も窮してくる。現在どう見ても食べられる芋は20日位先だろうという。ではと相談するが良い案はない。では海軍農園の芋掘りに行くかと誰からともなくつぶやく。「よしでは今晩行こう」ということになった。折しも闇夜で小雨もようである。ど…

植物の試食について

土人に対する警戒も厳しくなる。食糧採集も広く歩かねばならない。ある日北の方へ二つ峠を越えて採集に行ったが、M地上等兵が「この草の根を食べても美味しいですよ」と言ってきた。一度も見たことがないので「食べたかい」と聞いたところ「食べました、美味…

敵の定期便への射撃願いについて

前島の守備中二日に一回火砲の手入れに行く。外海ソロモン海に面した湾の入口。海抜約50米の崖の中腹に高さ2米椰子木径40糎丸太を載せトタン板を置き、その上土を一米程厚さに被せ椰子の実に芽が出たものを擬装し、砲門も幅広く出来ている。敵の艦砲爆撃に…