「負の性欲」論とは「負の「水伝」」

 世情に疎いもので「負の性欲」って、キモい男に性欲を感じることかと思っていました。本当は、キモい男を排除することでした。批判はいろいろ目にしていましたが、最近、やっと発祥のブログを読んで知りました。その感想文です。 senyousociety.blog79.fc2.com

 一読して、これは、「負の「水伝」」だなと思いました。道徳の根拠に科学を持ち出した「水伝」と同じことをやらかしています。男が女なら誰でもいい傾向があるのに対して、女が男を慎重に選ぶ傾向を、性淘汰で説明する説は特に目新しくもない説で、ちゃんと検証されているかどうか知りませんが、それなりに説得力があると私は思います。

 しかし、科学は現象を説明するだけで、その現象が良いとか悪いとかの価値観とは無縁です。一方道徳の類は価値観そのものなので、「水伝」はまともな科学者から批判されています。そういえば、ずいぶん以前に石田純一が遺伝子を持ち出して浮気を正当化しようとしたことがありましたね。遺伝子とか進化論は珍妙な主張の正当化によく利用されます。「量子論」や「免疫」なども人気です。

 石田純一は、浮気も本能だからと正当化しようとしましたが、「負の性欲」は逆で、本能の性欲だから下劣だと主張しているようです。だから「負の「水伝」」です。禁欲主義者は、本能の性欲も汚らわしいと考えるようなのでそれに近い感覚なのかもしれません。この嫌悪感は次のような記述に現れています。

 僕は、この女の「負の性欲」の存在に気付いてからというもの、女が男にキモいという表情を見せたときその顔が性欲に歪んだ女性器に見えるようになってしまった。 

 蛇足ですが性的な意味があるからと言って、性的快感があるとは限りませんね。私は、糞便には生理的嫌悪感を覚えますが、スカトロジストではないので性的快感は覚えません。あえて言えば「他人の不幸は蜜の味」に近いような気がします。これも競争相手を排除する本能かもしれませんが、性的快感じゃなくて嬉しいだけです。

 この点について、批判者に対する反論的な12月7日の追記でリョーマ氏は「3. 女が「キモい」と男を遠ざけるのは性欲の発散(自慰行為)」とは言っていないと書いています。しかし、私も批判者と同じように読み取りました。前で引用した「女が男にキモいという表情を見せたときその顔が性欲に歪んだ女性器に見える」や「キモい男をしばいてンギモヂイイイしているのは、女向けのポルノとでも言うべきものなんだ。」ってS女王様の表現そのものなんだから。