企画総務部が赤字の会社はつぶれるか

 前記事に引き続き、国の赤字や借金について考えてみます。今回も例え話なので大雑把な話だと思ってください。厳密に語る知識も能力もないので、ご容赦願います。

■ 企画総務部も独立採算制の企業

 政府は各部門が独立採算制の企業の企画部というか総務部的なところがあります。企画総務部は、何も生産していませんし、企画総務部だけで独立して存続することは出来ません。独立採算制を企画総務部にも適用すると、その会計では収入がなく支出だけですから赤字になるに決まっています。かといって、それで企画総務部や会社が潰れるわけでもありません。

 赤字とは、収支の収入の部に借金のようなものが計上されていることですが、企業外からの借金以外に、他の生産部門が上げた収入の一部が繰り入れされているだけの場合があります。国の会計では、それがほとんどで、税金や国債に相当します。また、支出の部には、部門共通の設備投資への支出が企画総務部の会計に計上されたり、各部門の個別設備投資が高額な場合は、企画総務部が支出しても良いわけです。もっともそも出所は、他の部門です。企業外部からの収入は企画総務部にはありませんから当然です。

■企画総務部の役割

 つまり、企画総務部は各部門の資金の融通を調整していることになります。場合によっては、企画総務部を介さずに各部門が直接、貸し借りする場合もあるかもしれません。企画総務部を介するのは、企業としてどの部門を強化するかなどの経営判断がある場合でしょう。また、多数の部門が絡む場合、一旦、企画総務部にプールして、各部門に分配するほうが円滑に行えます。銀行的な役割と言えます。

 企画総務部会計が赤字になるということは、企業として何か深刻な問題があるのでしょうか。それは、一概には言えませんが、企業全体が黒字なら多分、問題ありません。その場合の赤字の実体を考えてみると、単に、黒字の余裕のある他の生産部門からの形式的な借金に過ぎません。借りた金は、別の部門に投入されますが、それは元の部門で眠らせておくよりも、別の部門に投資したほうが良いという判断があるわけです。

 このように、独立採算と言っても、各部門が全く独立しているわけではなく、部門ごとに会計があり、企画総務部がそれらの融通をある程度制御していて、それが企画総務部の役割です。

 国の場合、企画総務部会計のようなものが国家会計と呼ばれ、目に見える形で存在しますが、企業全体の会計に相当するものが、明確な形で存在しません。このような事情が、政府会計の赤字に過ぎないものを国の赤字と錯覚させているのではないかと思います。

■赤字の何が問題か

 ところで、国全体の収支会計をあえていえば貿易収支だと思いますが。これも赤字だとよろしくないのか実は私にはよくわかりません。米国は長年赤字ですが破綻していません。世界全体で見れば、赤字と黒字は釣り合わなければならないので、赤字国家は必ず存在します。赤字でも交易が途絶えなければ良いわけで、途絶えない根源は何なのかです。企業も赤字だから潰れるわけではなく、お金が回っていれば大丈夫と言われます。お金が回るとは銀行が融資してくれることで、銀行は何を根拠に融資するのかです。

 なんとなく、分かる様な気がしますが、明確に述べられるほどまだ理解していません。